TOB(公開買付)で、応募しないとどうなるか

制度の手続と、実際に出ている開示の件数

自分の持っている会社にTOBがかかったとき、いちばん多い疑問は 「売らなかったらどうなるのか」です。これは相場の話ではなく、 会社法と金融商品取引法に手続が書いてある制度の話なので、事実として説明できます。 Corpusは公開買付の届出・報告書を継続して集めているので、 「その後どうなったか」の件数も同じページに置きます。

先に結論

応募しなくても株はそのまま残ります。ただし買付者が多くの株を集めた場合、 その後の手続(株式売渡請求株式併合)で、 同意のあるなしにかかわらず現金と引き換えに株を失うのが通常です。 受け取る金額は原則としてTOB価格と同額に設計されています。 応募すべきかどうかは当サイトでは判断しません。

成立してから非公開化までの流れ

買付者の議決権次に起きること 残った株主に起きること
3分の1超市場外で買い集めるならTOBが必須になる 上場は続く。市場で売買できる
3分の2以上応募株を全部買い取る義務が生じる 上場は続くが、株主総会の特別決議を単独で通せる状態になる
90%以上特別支配株主の株式売渡請求(会社法179条) 同意なしに株式を取得される。対価は原則TOB価格
90%未満株式併合で端数にまとめる(会社法180条) 端数は売却され代金が配られる。結果は同じ

いずれの場合も、金額に納得できなければ裁判所に価格決定を申し立てる道が 用意されています(株式売渡請求=会社法179条の8、株式併合=182条の5)。期限があります。

実際にどれくらい起きているか

EDINETに提出された臨時報告書・公開買付報告書から、当サイトが数えたものです (2026-03-16〜2026-08-14)。

公開買付(TOB)
29
株式併合(非公開化等)
34
株式売渡請求
11
収録した開示
1,903

非公開化の手続(株式併合・株式売渡請求)が45件あり、 TOBの29件と同じ桁で出ています。TOBが成立した会社の多くが、 その先で残った株主の株を現金化していることの目安になります (個々の対応関係までは臨時報告書からは追えません)。

直近の公開買付

対象会社が書類から取れた16件のうち新しい順に最大30件 (残り13件は買付者しか取れていないため表から外しています)。 すべての開示はTOBの一覧開示ウォッチで新しい順に見られます。

よくある質問

TOBに応募しないと、株はどうなりますか?
そのまま持ち続けられます。ただし買付者が多くの株を集めた場合、その後の手続で現金と引き換えに株を失うことになるのが普通です。買付者が議決権の90%以上を持つと、会社法179条の特別支配株主の株式売渡請求で、残りの株主の同意なく株式を取得できます。90%に届かない場合は株式併合(たとえば10万株を1株にまとめ、1株に満たない端数を売却して代金を配る)で同じ状態にします。どちらも受け取る金額は原則としてTOBと同じ価格です。
応募しないほうが高く売れることはありますか?
その後の手続で受け取る金額は原則としてTOB価格と同額に設計されています。金額に納得できない場合は、裁判所に価格決定の申立てをする道が会社法に用意されています(株式売渡請求は179条の8、株式併合は182条の5)。ただし申立てには期限があり、結果が出るまで時間がかかります。どちらが得かは当サイトでは判断しません。
上場廃止になったら、市場では売れなくなりますか?
はい。上場が廃止されると証券取引所では売買できません。非公開化を目的としたTOBでは、成立後に上場廃止となるのが通常です。そのため「応募しない」という選択は、市場でいつでも売れる状態を手放すことでもあります。
なぜ市場で買わずにTOBをするのですか?
金融商品取引法27条の2により、市場外で株を買い集めて議決権の3分の1を超える場合などは、公開買付によらなければならないと決まっています。価格・株数・期間を公表してすべての株主に同じ条件を示すための制度で、一部の株主だけが有利な条件で売れることを防いでいます。
買付者が3分の2以上を取ると何が変わりますか?
買付予定数の上限を設けられなくなり、応募された株を全部買い取る義務が生じます(全部勧誘義務・全部買付義務)。「上限に達したので買えません」ということが起きなくなるため、非公開化を狙うTOBではここが一つの目安になります。
TOBが不成立になることはありますか?
あります。買付者は買付予定数の下限を決めることができ、応募がそれに届かなければ1株も買い付けずに終わります。対象会社の取締役会が反対を表明した場合(いわゆる敵対的TOB)や、対抗する買収提案が出た場合に起きやすくなります。

この会社のことを知る

対象になった会社の年収・お金の使い方・大株主は、各社のページで見られます。 経営に関与する株主が現れた会社はこちら継続企業の前提に記載のある会社もあります。

出典: EDINET(金融庁)の公開買付報告書・臨時報告書。件数は当サイトの集計で、 金融庁が提供・保証するものではありません。制度の説明は会社法・金融商品取引法の条文に基づく 一般的な説明であり、個別の判断について助言するものではありません (免責事項)。手続の詳細は弁護士・証券会社にご確認ください。 用語は用語集へ。