算出方法
この数字が、どこから来てどう作られたか
Corpusは、会社が国に提出した書類の数字だけでできています。
ただし「平均年収」のようにそのまま載せている数字と、こちらで計算した数字があります。
後者は作り方を公開しないと検算できないので、このページにまとめました。
不都合な限界も併記しています。
元になっているデータと、その更新頻度
| データ | 出どころ | 使っている項目 | 更新 |
| 有価証券報告書 | EDINET(金融庁) |
平均年収・平均年齢・平均勤続年数・従業員数・キャッシュフロー・研究開発費・設備投資・役員報酬・大株主・監査法人・男女賃金差異 ほか | 月次 |
| 臨時報告書・大量保有報告書・公開買付 | EDINET(金融庁) |
開示ウォッチの各イベント | 平日 日次(22:30 JST) |
| 賃金構造基本統計調査 | e-Stat(厚生労働省) |
産業×年齢の賃金カーブ、職種別年収、正社員の分位数 | 年次(現在は2023年) |
| しょくばらぼ/女性の活躍推進企業データベース | 厚生労働省 |
残業時間・有給取得率・男性育休取得率・新卒定着率・女性管理職比率・認定 | 不定期 |
| gBizINFO | 経済産業省 | 法人基本情報・公式サイトURL | 不定期 |
| J-Quants | JPX総研 | 時価総額・売上・自己資本比率・規模区分 | 月次(無料枠は約12週遅延) |
スクレイピングは行っていません。すべて公式のAPIまたは公開されている一括ダウンロードから取得しています。
年収の実力(世間水準との差)
Corpusの中心にある数字です。平均年収そのものを比べても、年齢が違えば意味がありません。
40歳が多い会社と28歳が多い会社では、同じ働きぶりでも平均年収は変わります。そこで:
年収の実力 = その会社の平均年収 −(同じ業種・同じ平均年齢の世間の水準)
- 世間の水準は、賃金構造基本統計調査から作った産業×年齢の賃金カーブから読みます
(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)。
- 業種は、EDINETの業種(JPX33業種)を統計側の産業大分類に対応させています。
- 限界: 会社の平均年齢は整数に近い粗さで提出されるため、カーブは年齢階級のあいだを直線で補間しています。
また賃金カーブは全国・全企業規模の平均なので、大企業だけと比べたい場合には辛めに出ます。
稼いだ100円の行き先(分配プロファイル)
会社が1年で稼いだお金を、人・株主・未来・貯蓄のどれに使ったかを100円に換算したものです。
- 稼ぎ=営業キャッシュフロー + 人件費(推計)+ 研究開発費。
営業CFは人件費や研究開発費を払ったあとの残りなので、そのままだと「人に使った分」が分母から消えてしまいます。足し戻してから配分を見ます。
- 株主=配当支払+自己株式の取得、未来=研究開発費+設備投資額、人=人件費の推計、貯蓄その他=残り。
- 型(人材投資型・株主還元型・未来投資型・内部留保型・バランス型)は、
4つの使途のうち全上場企業と比べた順位がもっとも高く、かつ上位25%に入るものを採ります。どれも入らなければバランス型です。
「シェアが何円以上なら人材投資型」という決め方をやめたのは、人件費は多くの会社で最大の費目なので、その基準だと半数が人材投資型になってしまうためです。
- 限界: 有価証券報告書に「人件費」という単独の項目はありません。開示されている費目からの推計です。
また持株会社は事業をしないため人件費が実態を表さず、「人」を表示していません。
稼ぎがマイナスの年に配当を出した会社などは、外部からの調達で埋めた旨を注記に出しています。
勤務先としてのスコア/投資先としてのスコア
同じ会社を、働く人の目とお金を出す人の目で別々に採点したものです。
同じ事実が読み手によって逆向きに効くため、1本の総合点にはしていません。
| スコア | 軸 |
| 勤務先として | 年収実力/働きやすさ/公平(男女賃金差異・女性管理職・男性育休の合成)/定着/稼ぐ力/安定性 |
| 投資先として | 株主還元/未来投資/雇用の勢い/稼ぐ力/ガバナンス/体力(自己資本比率) |
- 各軸は全上場企業のなかでの順位を偏差値(平均50)に直したものです。絶対評価ではありません。
- 開示が少ない会社は50に近づけます。
合成は「50 + 加重平均した偏差 × √(開示された軸の重み ÷ 全体の重み)」で、
少ない軸だけで極端な点が出ないようにしています。開示が全体の6割に満たない会社は算出しません(「—」と表示)。
- 軸には信頼度の重みを付けています。ほぼ全社が出すハードデータ(年収・従業員数・財務)は1.0、
任意開示や複数指標の合成(働きやすさ・公平・雇用の勢い・ガバナンス)は0.6です。
- 金融業(銀行・証券・保険・その他金融)は、キャッシュフロー由来の軸を対象外にしています。
銀行の営業CFには預金や運用の出入りが含まれ、桁が違うためです(ある大手銀行の営業CFはマイナス23兆円)。
対象外の軸は空欄になり、軸が足りなければスコア自体を出しません。
- 定着は勤続年数そのものではなく、平均勤続年数 ÷(平均年齢 − 22)で見ています。
社歴の長い会社が自動的に勝ち、若い会社が必ず負ける偏りを外すためです(中途採用が中心の会社には辛く出る限界は残ります)。
- 雇用の勢い(従業員数の増減)は、勤務先スコアには入れていません。
人が辞めて採用を増やしている会社でも上がってしまい、勤務先の良し悪しを測らないためです。投資先スコアにだけ入れています。
働きやすさ(ホワイト度)
残業・有給・男性育休・新卒定着の4項目から算出した偏差値です。厚生労働省のデータベースへの任意の登録が元なので、次の扱いにしています。
- 4項目のうち2項目以上が開示されている会社だけ算出します。「男性育休100%」の1項目だけで上位に来ることを防ぐためです。
- 開示が少ない会社は √(開示数 ÷ 4) の分だけ50に近づけます。えるぼし・くるみん等の認定加点は、この処理のあとに足します。
- 未登録の会社は「算出できない」と表示します。低い点を付けるのではありません。
生涯年収の推計
「40年続ければ生涯で±◯億円」という表示は、現在の年収差がその後も同じ比率で続くと仮定した単純換算です。
その会社の平均年収が世間水準の何倍かを求め、業種の年齢別カーブに掛けて22歳から60歳ぶんを足しています。
昇進・転職・退職金・企業の業績変化は織り込んでいません。会社どうしの比較の目安としてお使いください。
明らかにおかしい数字の扱い
提出データにはXBRLの入力ミスが実在します。機械的に載せると誤情報になるため、次の場合は欠損として扱い、表示しません。
- 女性管理職比率が100%超 — 比率としてありえないため。
- 男性育休取得率が300%超 — 桁の入力ミス(10000%等が実在)。
なお100〜300%は正しい値です: 分母は「その年度に配偶者が出産した男性の数」なので、前年度に生まれた子の育休を当年度に取ると100%を超えます。
- 1社あたりの監査報酬が50億円超 — 監査法人最大手の年間売上規模から見てありえないため(正常な最大は約34億円)。
- 平均年収が200万円未満または3000万円超 — ランキングの集計から外しています(平均年収87億円と提出された例が実在)。
- 平均年収の単位が桁でずれている場合は直します。千円で入っている会社があり(613万円が6,132と提出される)、
1000倍・100万倍のずれを両方向で補正します。10倍のずれも、提出会社自身が書いた「前事業年度からの増減」と
突き合わせて辻褄が合う場合にかぎり直します(下の「自分の計算を検算しています」を参照)。
- 監査報酬は、提出会社ぶんが連結子会社ぶんの20倍を超えるものも外します。
絶対値だけでは50億円の線をすり抜ける例(49.98億円)が実在したためです。
- 男女の賃金差異は「女性の賃金が男性の何%か」です。これを「差(男性を100としたときの差分)」として
書いている疑いが濃い会社は、裏返した値が正しいという確証が原本から得られないため未開示として扱います。
これらはpipeline/check_data.pyがビルドのたびに機械的に検査しています。
閾値は実データの分布から決めており、「男性育休100〜300%」のような正常な外れ値は弾きません。
誤りを見つけた場合はお問い合わせフォームからお知らせください。原本はEDINETで確認できます。
自分の計算を、提出会社の数字で検算しています
有価証券報告書には、平均年間給与の金額とは別に
「前事業年度からの増減」という欄があり、提出会社が自分で率を書いています。
当サイトは金額の推移から前年比を計算しているので、この欄と突き合わせれば
こちらの計算が正しいかを一次情報で確かめられます。
ずれた40社の内訳も調べました。25社は提出側が「前年=100の指数」で書いているもの
(+101.7% = 実質+1.7%)で、規約の違いであり誤りではありません。11社は提出側の入力が異常なもの
(率の欄に金額が書かれている例が実在します)。残る4社が当サイトの桁誤りで、
提出会社が書いた率から正しい値を復元して直しました。
提出書類が自分自身と食い違っていることもあります。
金額欄と増減欄が合わない会社が実在し、原本で確認したうえで金額欄をそのまま採っています
(当サイトの数字は原本どおりで、増減欄のほうが合っていません)。
この検算はpipeline/check_pay_change.pyで、毎回のビルドでも走ります。
提出会社の従業員が少ない会社
平均年収は提出会社(多くは持株会社の本体)の数字です。
本体に数十人しかいない持株会社では、平均年収がグループ全体の待遇を表しません。
- 提出会社の従業員が50人未満の会社(543社)では、年収の実力と順位を出していません。
ページは作り、その理由を本文に書いています。業種の中央値にも含めません。
- 以前はこれらの会社をページごと作っていませんでしたが、名の知れた持株会社が
丸ごと見えなくなるため、2026年8月に方針を変えました。
拠点・海外進出のデータ
有価証券報告書の「設備の状況」「関係会社の状況」から所在地だけを取っています。
- 拠点の数・規模・その拠点の従業員数は分かりません。原本では表になっている数値が、
EDINETのCSV化でセルの区切りを失い、桁区切りの無い数どうしが癒着して復元できないためです。
- 都道府県名・国名は閉じた語彙なので区切りが無くても安定して取れます
(200社の検証でカバレッジ100%、本店所在地との照合で精度97%)。
- 現地法人を持たない輸出だけの取引は現れません。海外売上比率とは別物です。
取引先の実在チェック
国税庁の法人番号公表サイトとインボイス公表サイトの全件データを月次で取り込んでいます
(法人581万件・インボイス登録257万件)。
- 与信判断の道具ではありません。設立年・従業員数・売上・社会保険の加入状況は、
どれも全法人を対象にした公的な一括データが存在しません。出せるのは登記の状態とインボイス登録の有無だけです。
- 倒産は事後にしか出ません。破産手続の開始は官報にしか載らず、機械的な取得が規約で禁じられています。
- 登記記録の閉鎖の日付は公表日で、解散日ではありません。
ラグは中央値8日・4件に1件は14日以上です。
検証記事について
このサイトが前提にしていることを、自分のデータで確かめた記録です。
結論がどうであれ公開します。
いずれも相関を見ただけで因果は言えません。各ページに限界を明記しています。
やらないこと
- 口コミ・評判は扱いません。提出に法的義務と罰則がある書類だけを情報源にします。
- ブラック企業ランキングのような、下位を晒す一覧は作りません。数字は上位と全体分布で示します。
- 特定の銘柄の売買は推奨しません。投資に関する数字は事実の提示にとどめます(免責事項)。
- 自分に不利な検証結果も隠しません。タグライン「社員は、決算より早い。」を自分のデータで検証したところ
関係を確認できなかったので、そのまま検証ページに置いています。
- 掲載順やスコアが広告で変わることはありません。掲載企業から料金を受け取っていません。
用語は用語集、出典と免責はこのサイトについて、
集計後のデータはCSVで配布しています。