このサイトは、会社が国に提出した書類の数字だけでできています。 そこで使われる言葉を、はじめて見る人向けに説明します。難しい制度の話は最小限にしました。
有価証券報告書 ・ 臨時報告書 ・ TOB ・ 大量保有報告書 ・ スクイーズアウト ・ 政策保有株式 ・ 平均年間給与 ・ 年収の実力 ・ 男女の賃金の差異 ・ 役員報酬の個別開示 ・ 男性育休の取得率 ・ EDINET ・ 会計監査人の異動 ・ 継続企業の前提 ・ 法人番号 ・ 適格請求書発行事業者 ・ みなし解散
有価証券報告書(有報)
上場企業などが1年に1回、国に提出することを義務づけられている報告書。売上や利益だけでなく、従業員の平均年間給与・平均年齢・平均勤続年数、役員の報酬、大株主、男女の賃金差異までが載っています。虚偽記載には刑事罰があるため、会社が自由に書ける採用サイトや口コミとは情報の重みが違います。
臨時報告書(臨報)
有価証券報告書が年1回なのに対し、重大なことが起きたその都度提出される書類。主要株主の異動、社長の交代、会社分割や合併の決定、監査法人の交代、財政状態に著しい影響を与える事象などが対象です。「会社に何か動きがあった」ことを、決算を待たずに知れます。
TOB(公開買付け)
買い手が「この価格で、この期間に、これだけ買います」と公告したうえで、市場の外で株式をまとめて買い集める手続き。経営権の取得や非公開化のために行われます。買付価格には市場価格に対する上乗せ(プレミアム)が付くのが普通ですが、成立後はその株を持ち続けられないのが原則です。
大量保有報告書(5%ルール)
上場企業の株式を5%を超えて持った株主は、5営業日以内に提出しなければならない書類。誰が・何%を・何の目的で持っているかが書かれます。保有目的が「純投資」なら値上がり益狙い、「重要提案行為等を含む」なら経営への関与を意味します。ただし後者は買収者や親会社も定型的に書くため、いわゆる物言う株主とは限りません。
スクイーズアウト(少数株主の締め出し)
TOBなどで大半の株式を取得した株主が、残った少数株主から強制的に株式を買い取る手続き。株式併合や特別支配株主の株式売渡請求という形をとります。これが完了すると株主が1人(または少数)になり、多くの場合そのまま上場廃止になります。
政策保有株式(持ち合い株)
取引関係の維持などを理由に、純粋な投資目的ではなく保有している他社の株式。日本企業に根強く残る慣行で、資本効率を下げる・議決権が経営陣に有利に働くとしてガバナンス上の論点になっています。有報には銘柄数と計上額、保有の理由が書かれます。
有報の「従業員の状況」に載る、提出会社(多くは親会社単体)の平均給与。賞与と基準外賃金を含みます。注意点は、子会社の社員は含まれないこと、持株会社は少数の管理部門だけの数字になりやすいこと、そして平均年齢が高い会社ほど高く出ることです。
年収の実力(当サイトの指標)
実際の平均年収から、同じ業種・同じ年齢層の世間相場を引いた差額。国の賃金構造基本統計調査を基準にしています。生の年収ランキングは平均年齢の高い会社が上位に来がちですが、この指標なら「若い会社なのに厚遇」といった実態が見えます。
男性の賃金を100としたときの女性の賃金の割合。女性活躍推進法により開示が義務化され、有報にも記載されます。職種や役職の構成差を含んだ数字なので、同じ仕事での賃金差をそのまま表すものではありません。
→ 各社の数値を見る
役員報酬の個別開示(1億円ルール)
役員一人ひとりの報酬額は、連結で1億円以上のときだけ氏名とともに開示義務があります。そのため個別の金額が分かるのは一部の会社に限られ、しかも報酬水準の高い会社に偏ります。「日本企業の社長は平均◯倍」という一般化ができないのはこのためです。
男性育休の取得率(100%を超えることがある)
有価証券報告書に載る男性の育児休業等の取得率。分母はその年度に配偶者が出産した男性の数で、分子はその年度に育休を取った男性の数です。前年度に生まれた子の育休を今年度に取ると分子だけが増えるため、100%を超えることがあります(実際に開示されています)。また取得率は「取った人の割合」で、期間の長さは分かりません——数日の取得でも1人として数えます。
金融庁が運営する、有価証券報告書などの開示書類を集めた公的なデータベース。当サイトの数字はすべてここのAPIから取得しています。誰でも無料で原本を確認できます。
決算を監査する監査法人が変わること。臨時報告書の対象です。多くは報酬や任期を理由とした通常の交代ですが、会計処理をめぐる意見の相違による交代もここに含まれるため、市場では注目されます。
継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)
決算は「この会社は来年も事業を続けている」という前提で作られています。その前提が怪しくなったとき、会社は有価証券報告書に継続企業の前提に関する注記を書く義務があります。赤字や資金繰りの悪化が続いている、といった具体的な理由が本人の言葉で書かれます。対応策で解消できる見込みなら、注記より一段軽い重要事象等の記載にとどまります。どちらも倒産の予告ではありませんが、会社自身が危機を認めたという点で他の指標とは重みが違います。
国税庁がすべての法人に1つずつ割り当てる13桁の番号。会社名や住所と違い、社名を変えても本店を移しても番号は変わりません。国税庁の法人番号公表サイトで全件が公開されていて、誰でも無料で使えます。商号・所在地のほか、解散や清算結了で登記記録が閉じられた日も入っているため、「その会社が今も登記上あるか」を番号ひとつで確かめられます。
適格請求書発行事業者(インボイス)
消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として登録を受けた事業者が発行した請求書が必要です。登録した事業者にはT+法人番号13桁の登録番号が付き、国税庁のサイトで公表されます。重要なのは、登録は取消や失効がありうることです。請求書に番号が書いてあっても、その時点で有効とは限りません。なお未登録であること自体は違法でも異常でもなく、免税事業者なら登録しないのが普通です。
株式会社は12年、一般社団法人などは5年、登記が何もされないまま経つと、法務局が官報に公告したうえで登記官の職権で解散させます。これがみなし解散です。実際に事業をやめた会社が大半ですが、営業を続けているのに役員変更の登記を忘れていただけという例もあります。解散扱いになると銀行や取引先との手続きで支障が出るため、取引前に確認する価値があります。全国で20万件を超えます。
制度の説明は概要です。正確な要件は金融商品取引法および関係法令をご確認ください。